公正証書遺言の作成の流れ

最近頂く公正証書遺言の作成のお問合せに、代理手続きと遺言執行者についてのご相談があります。
私は個人で開業する前に公証役場の実務を把握すべく23区内の公証役場で書記として働いたことがありまして、その間に書記として100件以上の公正証書遺言の作成の手続きを担当させて頂きました。
その経験を踏まえ、公証役場(公証人)が何をどのような流れで行うかをお伝えさせて頂きます。
最初に、写真付き身分証明書(免許証等)にて本人確認を行います。次に遺言者本人が意思能力(自分の考えを整理して伝えることができるか)を備えているかを確認させて頂きます。これは遺言者に遺言書を作成する能力があるかの確認です。遺言者のお話をお聞きし始めたところ、遺言書を作成するのは難しいと判断しお帰り頂いたこともあります。
次に、遺言を書こうと考えている理由・背景、家族構成、遺産の内容、遺言に書きたいことをお聞きします。そして、提出頂く資料をお伝えし、おおよその日程を摺合せします。その後得た情報をもとに公証人が遺言書のドラフトを作成し。内部チェックを行い遺言者に送付し確認して頂きます。これを完成するまで数回繰り返します。遺言書は公証役場に雛形(基本となるもの)も過去の実例も多数存在します。公証人はそれをもとに遺言書を作成します。士業が原案を作成して提出してもそれをベースに作成されることはありません。他人が作成したものを検証することはたいへんで、役場で保有する法的に正しいものを利用する方が効率的でだからです。提出された士業の方もいましたがそれは情報を得るための1つとして使われました。ですので、公証人に伝えるのは、遺言の内容を箇条書きにしたものが適切で好まれます。もう一つ必要な情報は、遺産を特定するための情報(不動産、預貯金口座、株等)とその金額情報です。金額は公証役場の手数料を計算するために必要となります。相続税の計算のようにシビアな金額ではありません。遺産の分け方を決めるために必要な方もいらっしゃると思いますが、遺言書に金額を記載することは稀です。遺産の金額は変わるからです。もし、遺産の内容と大枠の金額を把握されていいるのでしたら、財産調査のご依頼は再考して頂ければと思います。不動産は年度の初めに送付される納税通知書のコピーを提供頂く必要があります。遺言書と計算書が完成しましたら、面談日を決め、証人を手配(FPICというところから派遣して頂けます)します。そして当日、遺言者、証人2人の前で、公証人が遺言書の内容を読み聞かせ、皆さんに確認頂き、遺言者、証人二人と公証人が署名捺印して遺言書が完成します。そして、料金をお支払い頂き、正本と謄本各一部をお渡しして終了です。代理をご希望され方もいますが一般的な代理はできません(日本公証人連合会のホームページにも書かれています)。できますのは、公証役場との情報のやり取りを使者として中継し段取り(日程調整含む)を調整すること、書類の授受、遺言書の記述事項の確認、注意事項(遺留分、予備的遺言等)の教示、遺言書記述内容のメモの提供です。最初に公証役場に行くときに同行させて頂くことはご希望により行いますが、同席させて頂くことはできません(とても大切な個人情報で、本人の意思を重視するため公証人から離れて座るように指示されます)、また、遺言執行者の設定をご希望される方があります。ネットの記事でも勧められています。私が必要と考えるのは、認知、廃除等(遺言執行者にしかできないこと)を遺言書に記載する場合です。次に考えられるのは第三者に遺贈を行う場合、相続人が遠方に住居し疎遠の場合です。遺言執行人の仕事は、遺言に書かれた内容を遺言者の代理として執行することです。遺言に書かれていない遺産があればそれは別途遺産分割協議して頂くことになります(予備的遺言を記載すれば不要にすることもできます)。相続税の申告は遺言執行者の仕事に含まれません。一方、報酬が別途かかります。金額は相続人代表者と受任者の協議となります。遺言執行者が必要になるのはこの先いつかはわかりません。家族構成、遺産の構成・残高も変わっている可能性もあります。ですが、公正証書遺言で遺言執行者が指定されるケースは多いです。遺言執行者はご親族を指定されるケースが殆どでした。士業が持ち込まれたケースでもご親族を指定されていました。特別な事項がない場合はその時に相続手続きを委任されることもできますし、必要になりましたら家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行うこともできます。その辺りのこともお考え頂ければと思います。当事務所が遺言執行者を務めるべきか、ご家族の中のふさわしい方をお選び頂くかは、お話をお聞きし適切なご提案をさせて頂ければと考えております。なお、当事務所ご希望の場合は他の事務所の行政書士と合わせて2名を設定してさせて頂きたいと考えております。(受任側の環境も変わるかもしれませんので)