相続の手続きの概要を把握して頂きましたので、次に終活の手続きについて説明させて頂きます。
文中に公共機関のホームページを中心に、URLのリンク掲載が許可されているぺージ、掲載することを確認させて頂いたページのURLを添付させて頂いています。 別のページで開きます。動画(YOUTUBE)で広告が表示された場合はスキップしてください。
※上記ホームページのURLは2024年3月現在のものです。URL及び内容はホームページ管理者により変更されることがあります。気が付きましたら速やかに修正してまいります。

生前の整理

 前記の相続手続きの内容を踏まえて、次に、生前にやっておいた方が良いこと(いわゆる終活)について記載します。それらを箇条書きにした資料を以下に添付します。こんなことがあるんだと見て頂ければ結構です。何気なく進めていらっしゃることもおありかと思います。

終活の主な項目

 急にお亡くなりになった場合に残された方が苦労されるのが遺産の調査です。遺品の中から関係資料を探してそれを頼りに苦労して整理されています。そうならないようにしておきたいものです。一気に全部きれいに整理しようとするとなかなか進みません。気になるところ、心配なことから整理して頂くと良いかと思います。負債がある場合は、相続の選択(3ケ月以内)に間に合うように明確にしておかなければなりません。 財産を分散されて所有しておられる方はお元気なうちに少しずつ整理して残して頂いた方が良いかと思います。上記を参考して整理してみてください。

終活

 遺言は財産をどのように(誰に何を)分けるかを、遺言者の意思として記載し残すものです。 終活は、自分の人生を振り返り、これからの人生をより自分らしく充実して悔いを残さず生ききるための活動です。終活というと何か大仰なものをイメージされるかもしれませんが、その範囲はご自身で決めて頂けば良いのです。取り組んでみようとお考えでしたら、気になるところからやってみるのはいかがでしょうか。その内容をガイドしてくれるのがエンディングノートです。書籍も販売されていますし、内容が紹介されているホームページもあります。それを使うこともひとつの方法と考えます。

終活の視点と作業の関係

 次に、終活で残した内容とその後の活用について記載します。生前に整理しておくものが決まったら、まず自分で書き出してみます。 その内容は、環境の変化、思わぬ出費等、時の流れによって考えが変わっていくこともあります。 その節目を迎えたら見直しをすることをお勧めします。 さらに望ましいのは生前に関係者で話し合いその内容を共有しておくことですが、それが争いを生むこともあり得ますので注意が必要です。 時間の経過のイメージの資料を添付します。ご検討してみてください。
終活の支援をご希望の方は、当職がサポートさせて頂きます。

終活の成果物と利用される時期

各手続きの説明

用語  説明
遺言死後の法律関係を定めるための最終意思の表示(相続・遺贈他)をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされています。(民法960条)公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言がある。
遺贈遺言による贈与のことをいい、被相続人が自己の財産の全部または一部を特定の誰かに与えることができます。(民法第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。)包括受遺者は、相続の承認・放棄ができる「熟慮期間」(知った時から3ヶ月)の間に遺贈を受けるか否かを選択する必要があり、遺産分割協議の当事者として遺産分割協議に参加する必要があります。
死因贈与契約贈与者と受贈者が生前に契約を交わし贈与者の死亡によって財産を与える、贈与者と受贈者の合意で成立する契約。贈与者が亡くなる前(贈与の効力が発生する前)であれば贈与者のみの意思で契約内容を撤回することが可能です。
財産管理委任契約正常な判断能力はあるが体が不自由な場合に、他人に自己の財産の管理を依頼する契約です。一般的には、任意後見契約の効力の発生までこれを補完するために利用するものです。
継続見守り契約本人と定期的に面談し、健康状態や生活状況などを確認して関係者へ報告します。また、本人の判断能力状況を把握し任意後見契約を発動させるべき時期を判断し、任意後見監督人選任の申立を促す「見守り人」を選任するための契約です。(任意後見受任者も申立て可能です。)
任意後見契約本人の判断能力が衰える前に後見契約を締結し、判断能力が衰えた後に後見契約の効力を発動させて後見を開始する制度です。公証役場にて公正証書を作成します。具体的な保護・支援の内容は任意後見契約の内容に依存します。家庭裁判所が後見監督人を選任した時から効力が発生します自分で後見人を決め、後見内容(代理権目録)を決めることができます。
法定後見制度判断能力が不十分な者に適用される保護制度です。判断能力が不十分な者を、詐欺被害から法的に保護するために設けられているのが法定後見です。判断能力の度合いで、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの種類に分けられています。申立人が家庭裁判所に法定後見の審判の申立てをおこない、家庭裁判所の審判が確定されることで保護が開始されます。
死後事務委任契約本人の死後における葬儀や埋葬に関する事務について受任者を定め、一定の代理権を付与する委任契約をいいます。成年後見人(法定・任意ともに)は死後の事務を行うことは出来ません。
尊厳死宣言書「リビング・ウィル」とも呼ばれ、本人が自らの意思で延命措置を差し控え又は中止し、「尊厳死を望む」という考えを医療関係者や家族らに「意思表示する書面」のことです。9割以上の方が希望をかなえられています。尊厳死宣言の方法としては、尊厳死宣言書を公正証書として作成し公証役場に保管されるか、日本尊厳死協会へ加入して尊厳死宣言書を保管してもらう形の選択となります。

遺言

 終活というと、最初に思い浮かぶのは遺言ではないでしょうか。 残された大切な財産を巡って相続人の間で争いが起きることは誰しも望まないでしょう。そのために遺言者の意思として財産の分配のしかたを記述して残すものが遺言書です。一般的な遺言書としては「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。 それぞれの概要と特徴を記述します。「自筆証書遺言」は費用もかからずお手軽ですが、遺言者が自筆で記述し保管しなければなりません。 また、亡くなった後に家庭裁判所で「検認」という保全手続きを受ける必要があります。検認については、相続の章でリンクした裁判所のホームページをご覧ください。 ご自身でも申立手続きできますが、司法書士の先生に委任することもできます。「公正証書遺言」は、遺言者が最寄りの公証役場に出向いて、内容を公証人に伝えて公証人に作成を依頼します。その際に証人二人の立会いが必要です。 原本は公証役場で保管されます。検認手続きは不要です。遺言書の内容に方式の誤りや不明確になることは生じにくいですが費用がかかります。公正証書遺言の内容、費用につきましては日本公証人連合会のホームページをご覧ください。
[出典:日本公証人連合会ホームページ]
ホーム >公証事務>2 遺言 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02
ホーム > 公証事務 > 12 手数料 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12

自筆証書遺言のイメージ
公正証書遺言のイメージ

 2018年の法改正により、自筆証書遺言書保管制度の運用が2020年7月に開始されました。 この制度を利用すると検認手続きは不要となります。 新設された自筆証書遺言書保管制度については法務局のホームぺージをご覧ください。
[出典:東京法務局ホームページ]  
自筆証書保管制度のご案内 https://houmukyoku.moj.go.jp/mito/page000001_00041.pdf        
また、YOUTUBEに東京法務局作成の動画が掲載されています。ご覧ください。
自筆証書遺言書保管制度について https://houmukyoku.moj.go.jp/tokushima/content/001323312.pdf
東京都の保管場所(申請先)は以下をご覧ください。23区内は2カ所です。
東京法務局管内遺言書保管所管轄一覧 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00170.pdf
遺言の方式や書き方については法律で定められています。法律に従って有効なものにしなければなりません。 いくつかの遺言が発見された場合は、内容が抵触する部分については日付が新しいものが有効となります。 各方式の比較表

遺言書の方式と特徴


以下に該当される方は一度遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。
・子供のいないご夫婦
・相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹の方
・事実婚のご夫婦
・前妻(夫)の子供がいる方
・遺産相続争いの心配がある方
・特定の人により多くの財産を相続したいとお考えの方
・相続人以外に財産をあげたいとお考えの方
・事業を特定の人に継がせたいとお考えの方
・寄付をお考えの方
・相続人に未成年者、認知症の方、行方不明者がいる方
・相続財産の多くを不動産が占める方
・障碍のあるお子さん、病気のご家族がいる方

遺言書作成の支援をご希望の方は、当職がサポートさせて頂きます

後見契約

 「自分が動けなくなったらうしよう、認知症になったらどうしよう」は誰もが気になるところです。 遺言書と並んで検討される方が多いのは任意後見契約、財産管理委任契約です。 後見については、法定後見制度任意後見制度があります。後見制度については関連する裁判所と法務局のホームページのURLを記載しますのでご覧ください。
[出典:裁判所ホームページ]
成年後見制度 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file4/h3006koukenpanfu1.pdf
[出典:裁判所ホームページ] ビデオ
「ご存知ですか?後見人の事務」成年後見 https://www.courts.go.jp/links/video/koukennin_no_tetuduki/index.html
後見制度については地域の社会福祉協議会、NPO法人、専門の士業の団体に相談して頂くことができます。後見人の選任は、家庭裁判所の状況によりますが数カ月かかることもあります。 任意後見契約書は公正証書での作成が求められています。公正証書については日本公証人連合会のホームページをご覧ください。
[出典:日本公証人連合会ホームページ]
ホーム > 公証事務 > 4 任意後見契約 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow04

ホーム > 公証事務 > 12 手数料 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12
後見契約作成の支援をご希望の方は、当職がサポートさせて頂きます。

任意後見契約を締結するにあたって検討頂くことは以下です。
1.被後見人(委任者)と後見人(受任者)をだれにするか。ご家族で相談されることをお勧めします。

  ※被後見人が相続人となる相続が発生したときに後見人も相続人である場合は分割協議で特別代理人の選任が必要になることがあります。
2.契約の形態をどれを選択するか。(将来型/移行型/即効型)
委任する内容(代理権目録)をどこまでにするか。特に移行型の委任契約の場合に委任する項目と自分で決める項目。

後見制度の構成

以下は将来型の任意後見契約公正証書の例です。※PDFファイルはこちらをクリックしてご覧ください

任意後見契約公正証書の例

移行型の任意後見契約(委任契約+任意後見契約公正証書)の例は、こちらををクリックしてご覧ください。

継続的見守り契約

 継続的見守り契約とは、ご本人の判断能力がしっかりされている間も、定期的に電話や訪問によって連絡を取ることで、 ご本人の心身の健康状況を把握し生活を見守ることを目的とした契約です。

【検討頂く主な対象者】
・一人暮らしで家族が遠方にいる方、親族と疎遠になっている方
・認知症になるかもしれないと心配で任意後見契約を検討している方
・悪徳商法に引っかからないかが不安な方

【見守り契約の主な具体的な内容】
・定期的な訪問や連絡 (委任者への定期的な訪問や連絡により健康状態や生活状況を確認する。)
・家族、家族への報告(委任者の家族・親族に対し定期的に健康状態や生活状況等を報告する。)
・ケアマネジャー等介護従事者との連携 (委任者の健康状態や生活状況の情報共有を図る。)
・重要な契約等の相談 (訪問販売、電話勧誘販売等に関する相談を受けてトラブル回避を図る。)
・任意後見の申し立て(任意後見契約の開始すべきか判断し家庭裁判所に申請する。)

【契約の形態】
私文書として当事者間で契約書を締結するっことも可能です。
ご本人の健康、生活にかかわることなので公正証書として締結することを推奨します。
委任契約・任意後見契約公正証書と一緒に締結する、または前述の委任契約の特約(追加条項)として
継続的見守り契約の条項を追加した形で締結することをお勧めします。

継続的見守り契約公正証書(例)のPDFファイルはこちらをクリックして参照してください。

尊厳死宣言書

 他にご相談があるのは、「不治の病になったり、寝たきりの状態になっりしたらどうすればよいか」ということです。 その状況になったときに、どうして欲しいと書き残すものが「尊厳死宣言書」です。 これは、医師は必ずそうしなけれなならないというものではありません。「もしもの時は、こうしてください」と伝えるものです。ちなみに、医師の尊厳死許容率は、95%を超えているようです。 事前に、主治医の先生と相談されることをお勧めします。日本では、まだ尊厳死に関する法律が存在しない為、一定の信頼を得られる方法を取る必要があると思います。 尊厳死宣言書は公正証書として作成されることをお勧めします。
尊厳死宣言書作成の支援をご希望の方は、当職がサポートさせて頂きます

尊厳死宣言公正証書の例

死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約です。葬儀や遺品整理には相応の費用が必要となります。後見契約は終了しているので故人名義の現金預金から費用を払うことができません。事前に費用相当額を受任者に寄託するなど費用の手当をしておく必要があります。
・「委任者が死亡しても終了しない」という特約付きの委任契約
・「委任者の相続人は原則として契約を解除できない」という特約付きの契約
・相続人にとって不合理であったり過重な負担がある場合に限り解除権が発生する

【死後事務の内容】
 ①行政官庁等への諸届け事務
 ②医療費の支払いに関する事務
 ③家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
 ④老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務
 ⑤通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、散骨に関する事務
 ⑥菩提寺の選定、墓石建立に関する事務、永代供養に関する事務
 ⑦相続財産管理人の選任申立手続に関する事務
 ⑧賃借建物明渡しに関する事務
 ⑨ペットの里親探し、終身飼育施設への引渡し関する事務
 ⑩SNS,メールアカウント等の削除に関する事務

【契約書の作成方法】
 死後事務委任契約書は私文書にて作成することもできますが、自分の意思で作成したことを明らかにするために公正証書で作成することを推奨します。財産管理委任契約や任意後見契約とともに作成することをお勧めします。

まとめ

 終活・遺言手続きの概要に関しましてサーッと説明させて頂きましたが、他に死後事務委任契約、死因贈与契約も検討の対象となります。ご質問・ご相談がございましたらお問合せ」のページよりご依頼ください。 Web会議にて対応させて頂きます。利用方法は「Web会議の利用について」のぺージをご覧ください。Web会議でのご相談は一般的なことと事例をもとにお話させて頂きます。個別具体的な回答は以降の対応とさせて頂くこともあります。その後、どのような形で進められるのかを検討頂けたらと思います。これから始めようとされている方の一助にして頂ければ幸いです。行政書士の職務の範囲は法律で定められています。相続税については税理士、登記及び裁判所への申立てについては司法書士、年金については社会保険労務士の担当分野となります。確定的な答えができないこともありますのであらかじめご了承ください。

終活・遺言作成をお考えの方へ

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